サプライチェーンの見直し

代表の酒井です。新型コロナウイルスの影響で海外からの輸入が滞り、サプライチェーンの見直しが広がっています。このような状況は誰も予想をしていなかったとは思いますが、私は起業当初からメイド・イン・ジャパン、国産にこだわってきました。一言に国産と言っても部品は海外から輸入し、組み立てを国内で行うパターンが多いと思います。陶磁器業界に関して言えば、原料の陶土は国内に豊富にあります。特に愛知県瀬戸市には古来から非常に質の高い陶土が存在し、日本各地の焼物産地に出荷しています。余談ですが、元々日本各では良質な陶土が各地で採掘されていました。しかし長い歴史の中で徐々に枯渇して行き、また陶磁器製品の需要の減少で採掘コストが上昇、採算が合わず閉山するケースも多くあります。その結果、伝統や文化を守るために製品は作り続けていますが、原料はその産地以外から調達する場合もあります。産地の陶芸家の本音としては地産地消が理想だと思いますが、現実は大変厳しい状況であります。それでも先祖代々受け継がれてきた日本の伝統工芸を守るためにはやむを得ないと私は思っています。

国内製造に焦点を合わせれば、生地の焼成から絵付け、本焼成まで全てを自国でまかなっている産業は非常に珍しいと思います。そのためコロナウイルスによるサプライチェーンの断絶にはほとんど無縁と言っても良いと思います。もちろん経済が止まり消費・需要が停滞する中で生産に対する影響は過分にありますが、とりあえず「原料が入ってこないから造れない」という状況は回避できています。

このブログを書いている2020年6月時点では緊急事態宣言も解除され、徐々に経済が復活しだし、飲食店や宿泊施設の営業が再開され始めれば、自然と需要は戻ってくるはずです。海外も含めマクロ経済の完全復活にはまだ数年かかると思いますが、国内需要だけでも回復すれば、陶磁器産業は再び隆盛すると信じています。これを機に日本国民がメイド・イン・ジャパン製品の「供給の安定さ」や「質の良さ」に注目してもらえると、私も当事業を興して良かったと思えるのですが。。。

 

それにしてもコロナウイルスの経済に対する破壊力はとてつもないですね。私の主観ですが「ビフォーコロナ」と「アフター/ウィズコロナ」は全く違う世界になると思います。日本は衛生面で言えば世界屈指の高水準にあると思いますが、それでもまだ感染は続いています。今まで以上にマスク着用、手洗いうがい、アルコール消毒は一般的になり生活の一部となると思います。そしてしばらくは感染拡大に配慮し、不要不急の外出が減り、外出しても他者との接触を最小限に抑える「おそるおそる生活」が続くと思います。特に不特定多数が出入りする対面でのサービスを提供している事業者には「ビフォーコロナ」とは違った世界が広がるでしょう。例えばソーシャルディスタンスやフェイスマスクの着用、非接触型決済、3密回避、衛生面の強化など、とても多くの課題に対する対応・対策が必要となるでしょう。しかしそこまでしなければ消費者の不安を払拭できず、顧客や売上の減少につながるでしょう。今までの運営にプラスアルファでこれらの対策をするのであれば、その分経費も増加するため、販売価格を上げるなどしなければ吸収できません。しかしもしこれから不況が続くのであれば、消費者の財布のひもは締まり、消費が冷え込み、値上げをすれば購入されないという悪循環となってしまいます。

 

ではどうすれば良いかと言えば、やはり「ビフォーコロナ」の意識を断絶し、全く新しい価値や運営方法の創造が必要となってきます。今まで「おもてなし」として良しとされてきた対面のサービスを廃止し、オンラインや非接触型でのサービス展開にかじを切らざるを得ないと思います。初期投資は掛かるでしょうが、結果的に消費者に安心感が伝わり、顧客獲得に繋がるのではないでしょうか。言うは易く行うは難しで、外食経営の当事者ではない私がとやかく言う筋合いはないのですが、せともの本舗が扱う和食器や厨房用品は外食産業からの恩恵が絶大ですので、何としてでもまた国民や外国人が外食をする文化が戻ってきて欲しいと願っています。何より私自身が大の外食好きですので!

 

海外とのサプライチェーンの問題に触れてみましたが、モノの流れだけではなく、人の流れも途絶えてしまっています。海外旅行や海外視察など、日常の生活圏内では発見できない目新しい経験が全く出来ていない状態です。まさに鎖国状態ですね(苦笑)これはこれで国内の色々な部分に目を向ける良い機会だとは思いますが、できるだけ早い段階で海外との交流が復活して欲しいです。いずれインバウンドが復活した時には、コロナ前に来日した外国人が「コロナ後の日本は全く別世界だ!」と狂喜するぐらい変化した日本になると面白そうです。そうすればリピーターが増えてもっとインバウンド市場が活況になるのではないかなーっと夢見ています。