伝統を届けるために

代表の酒井です。前回からの続きですが、その前に国産の陶磁器製食器の需要が年々減少しているのをご存知でしょうか?海外製の安価な食器が輸入されてきたり、惣菜などの使い捨て容器が一般的になったり、世帯当たりの人数が減少したりして、年々生産量が減少しています。生産量が減ると作り手(メーカー)も規模を縮小せざるを得ず、結果的に技術が衰えていきます。一見「作家」や「伝統工芸士」と聞くと凄くカッコイイ生き様のように聞こえますが、経済的には非常に厳しいのが現実です。日本の伝統工芸品を守るためには、そのような専門家の生活を支えることが何よりも大切です。そのためにもっと日常生活に和食器を取り入れていただきたいと心より願っております。

っということで前回からの流れを踏まえ、愛知県瀬戸市の陶磁器製品を手軽に手に取っていただける環境づくりに注力した方が良いのではないか、送料が高いと興味はあってもなかなか買えない方が増えるので、お客様や地域貢献の視点から考えると不利益になってしまうのではないか、という考えに至りました。そして何より自分たちで試したこともないのに世間の噂だけで宅配業者を判断をするのはやめようとみんなに話しました。一部のお客様にはご迷惑をお掛けしてしまうかもしれないが、その時は誠心誠意対応をし、その経験から今後どのような改善が必要なのかを考えることの方が建設的だと思いました。このようにしてせともの本舗としては初めて日本郵便以外の宅配業者と契約をすることになりました。しかしそれでも不安は残りましたので、基準を決めて佐川急便と日本郵便を使い分けました。実際に運用が始まると、当初懸念していた破損事故はほとんど起こりませんでした。報道のおかげか、佐川急便も社内で改善されたのでしょう。安心して割れ物を預けられることを確信しました。

さて2社体制でスムーズに荷物が出せるようになった矢先に、なんと今度はヤマト運輸の所長が直々に来社されるとの連絡がありました。以前の物流センターの時から半年に1回ほどはヤマト運輸に見積もりを依頼していたのですが、ことごとく高い運賃しか提示してもらえず、ある意味「高嶺の花」的な存在だったのでした。お客様からいただくメッセージには「ヤマト運輸で配達して欲しい!」という意見を多くいただいていたので、何とかしたいと思っていましたが、コスト面でどうしても折り合いが付きませんでした。それでもヤマト運輸を指定されるお客様もいらっしゃいましたので、その場合は追加料金を戴いて、一般運賃でヤマト運輸に差し出していました。しかも契約がなかったので希望の時間に集荷に来てもらえず、営業所まで持ち込んでいました・・・ そんなヤマト運輸から荷物が欲しいと言われ、悪い気はしませんでした(笑)。ただ佐川急便の運賃が安かったので、難しいと思いますよ、と伝えました。心の中ではすごく取引したかったのですが・・・ するとできることとできないことを考えられたようで、一部のサイズと地域で佐川急便を上回る(安い)運賃を提示されました。宅配業者で最も評判が良く(ブランド力が高く)、最安値で引き受けてくれるのであれば、これ以上求めるものはない、と言った感じで先方の気が変わらいうちにすぐに契約を交わしました。これでせともの本舗も晴れて宅配大手3社と契約することができました。現在は各社のメリットを活かしてデメリットをカバーし、最適な配送方法で出荷しています。

参考までにせともの本舗として認識している各社のメリットとデメリットを列挙します。(繰り返しになりますが取り扱う商品や事業所の所在地、ドライバーなどによって状況は異なりますのでご理解ください)

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【佐川急便】
メリット
・配送単価が比較的安い(一般的な運賃表 https://www.sagawa-exp.co.jp/send/fare/list/sagawa_faretable/faretable-4.html)
・180サイズ以上の荷物も依頼できる
・ドライバーに余裕があると荷物が欲しいので単価を下げてくれる場合がある(ドライバーが営業マンも兼ねているので、ドライバーの影響力が大きい)

デメリット
・荷扱いが雑
・日時指定が守られない場合がある
・ドライバーが忙しい地域だと新規契約してくれない場合がある(法人価格ではなく一般価格でならやります、と言われたことがあります。せともの本舗の以前の物流センターで実際にそう言われました。)
・沖縄や離島の一部へは配達しない(愛知県からの場合)
・繁忙期はトラックに荷物が載らないという理由で引き受けてくれない(荷物を持っていかない)場合がある

【ヤマト運輸】
メリット
・お客様への好感度が高い(企業イメージが良い、ブランド力が高い)
・荷扱いが丁寧
・日時指定はほぼ問題なく守られる
・集配のドライバーの対応が丁寧
・持ち込みなら午後7時まで当日出荷として受け付けてくれる(繁忙期などで梱包が多い時に助かります)

デメリット
・荷物の大きさだけでなく重量もかなり厳密に配送単価に反映される(例えば60サイズでも2kgを超えていると80サイズ扱いになる)
・配送単価が比較的高い(一般的な運賃表 http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/search/estimate/ichiran.html)
・160サイズまでしか引き受けてもらえない(それ以上だと別サービス。ヤマト便 http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/send/services/yamatobin/)

【日本郵便】
メリット
・離島も追加料金が発生しない(所属する都道府県の配送単価のみで届く)
・荷扱いは丁寧
・日時指定はほぼ問題なく守られる
・海外発送(EMS)が他社と比べるととても簡単

デメリット
・初回配達時に不在だった場合、依頼が無い限り再配達をしない(不在表の投函のみ)
・170サイズまでしか引き受けてもらえない
・まだお役所的な対応をする(融通が利かない)場合がある(せともの本舗は過去に4か所の郵便局と契約しましたが、それぞれ対応は違いました)
・配達員が委託業者の場合、日本郵便の制服を着ていないことがあり、お客様に不審がられた経験がある
・海外へ発送した荷物が時々紛失する

Wikipediaに宅配便の詳しい説明がありましたので一部紹介します。
「法律上、宅配便は特別積合せに含まれるため、法律として宅配便が定義されている訳では無い。統計上では、宅配便と宅配便を除いた特別積合せで集計される。現場では、一般家庭宛てへの貨物を宅配便と呼ぶ場合も有る。
事業者およびブランドにより宅配便の定義が異なり以下の通りである。大きさや重量や責任限度額、いずれの制限を越えても一般貨物の、いわゆる特別積合せ・混載便と呼ばれるサービス内容に変わる。責任限度額はどこの運送会社も消費税込みで30万円である。以下は、主要事業者の事例となる。

3辺の合計が170cm以内で、かつ重量が30kg以内の1個口の貨物(ゆうパックの場合)
3辺の合計が160cm以内で、かつ重量が30kg以内の1個口の貨物(飛脚宅配便・パーセルワンの場合)
3辺の合計が160cm以内で、かつ重量が25kg以内の1個口の貨物(宅急便の場合)
3辺の合計が170cm以内で、かつ重量が30kg以内の1個口の貨物(フクツー宅配便の場合)
3辺の合計が140cm以内で、かつ重量が20kg以内の1個口の貨物(スーパーペリカン便の場合)
3辺の合計が130cm以内で、かつ重量が20kg以内の1個口の貨物(カンガルーミニ便の場合)

このほか、3辺合計及び重量の制限は運送会社・サービスによって若干違いがある
破損等の保証は、実損額となる。」(出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%85%E9%85%8D%E4%BE%BF)
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このように一長一短がありますが、質で言えばヤマト運輸が一番です。