人とつながるEC
代表の酒井です。2009年の創業から10年が経ちましたので、私が思うECについて綴ってみたいと思います。なぜECを始めようと思ったかですが、学生時代にアナログレコードを収集していました。当時(1998年ごろ)はヤフオクが結構メジャーで、私も売ったり買ったりしていましたが、買うよりも売る方が楽しくなってきて、もっともっとという感じになりました。今で言うメルカリみたいなものですが、ヤフオクはオークション形式なので値段が上がっていく楽しみがありました。いくらで出品しようかな、最低落札価格の設定はどうしようかな、などなど。最近メルカリでも時々個人的な不用品を出品するのですが、こちらは定額なので値付けが難しいです。ただ大体の相場は教えてくれるので、部屋を片付けるついでなので欲もありませんし、結構安く出してます(笑) 出品してすぐに売れることが多々あり、ユーザー多いなぁっと感心しています。話がそれてしまいましたが、当時はヤフオクを使って他人から物を買うということが新鮮で画期的だと思いました。
私の好きなパンクやハードコアといったジャンルは保守的だったりアンチ・デジタルな傾向があり(ですからアナログレコードが流通していたのですが・・・)、ネット以外の入手方法は専門店へ行くか「文通」がメインでした。文通は先にも後にもこの時期だけでしたが(笑) ただ文通と言ってもほとんどが海外にいる外国人が相手でした。音楽や絵画を含む芸術って昔から国際交流が盛んですよね。Heresyというバンドの”Network of Friends”というタイトルはまさに今自分が置かれている環境だな、と感心しました。全く知らない人同士がお互いの共通点だけを頼りに意思表示をし、意見をし、共感をし、それが積み重なってものすごく深い絆に変わっていく。またその人の友人知人とも繋がり始め、やはりその人たちとも絆が深まっていく。とても理想的な人間関係だな、と思いました。今頃になってタモリさんのすごさを実感します。「ともだちの輪!」(テレフォンショッピングに出演した著名人たちはやはり横の繋がりが強かったのかな?(笑)) またいずれ機会があれば詳しくお話ししますが、1998~2002年ごろまで文通をしていた相手と海外で会った経験もあります。私がホームステイしていた家から歩いていける距離に住んでいた人もいれば、友人の友人が実は昔私と文通をしていた人だったとか。It’s a small world ですね。関係があるのか分かりませんがディズニーランドのイッツ・ア・スモールワールドも穏やかで和むので大好きです。
ただ不安や失敗も数え切れないほどありました。文通は友情を育むことよりもお互いが所有しているレコードをトレード(交換)することが一番の目的でしたので、当然そういう話を詰めていきます。すると最終的にどちらが先にレコードを発送するか、という話なります。お互い面識もなく、ましてや国も人種も宗教も違うわけですから、「常識」や「共通認識」が違います。レコードを発送したら相手と連絡が取れなくなる(詐欺)という危険が常に伴っていました。また海外へ発送するのには国際郵便やEMSを使用するのですが、国内の郵便や宅急便と比べると送料がかなり割高になるため、緩衝材や梱包用段ボールを必要最低限にするためにかなり工夫をしないといけませんでした。なぜなら国際小包は従量制のため重さで金額が決まりますので1g超過しているだけで500円とか1,000円送料が上がることもあります。当時は学生でしたので余裕資金もなく、収入があったとしても全てレコードの購入に充てていたので、送料という見えないコストには1円たりとも余分に支払いたくないと思っていました(今もあまり変わっていませんが)。状況は相手も同じなのですが、なぜか海外(主にイギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパ)から届く荷物の切手の金額を見ると、日本円にしたら日本の送料よりも安かった印象がありました。またレコードは割れ物ですので、それなりに厳重に梱包しなければなりません。何度か苦い思いをした一つに、輸送途中の荷扱いが悪かったため外箱の角が潰れた状態で相手に届いたことがありました。受け取った友人からその写真が届き、中身のレコードのジャケットも損傷していたので弁償して欲しい、と要求されました。
全く知らない人、特に外国人とやり取りをするのに大変な経験もたくさんしましたが、家にいながら海外の人とつながりが出来て、しかも大好きなアーティストのレコードが手に入るなんて夢のようでした。つらい経験よりもその喜びの方が大きかったのを覚えています。つたない英語でしたが想いがあれば気持ちは伝わるんだということも実感しました。そしてこの感動をもっとたくさんの人にも体験して欲しい!と思ったのがEC業界に参入したきっかけです。インターネットを介して情報を発信し、24時間365日、世界中の人と繋がることができる最高の事業だと信じています。